性格
「おっ、綾香。それにセリオ」
オレはマルチとあかりと歩っていると、公園でバッタリ綾香とセリオと出会う。
「やっほ〜♪」
「こんにちは、浩之さん、あかりさん、マルチさん」
「よぉ」
オレはぶっきらぼうに答える。
「こんにちは、綾香さん、セリオちゃん」
「綾香さん、セリオさん、こんにちはですぅ」
お互いに挨拶をかわす。
「んで? こんなところで何してんだ?」
オレは、綾香に訊ねる。
綾香とセリオがこんな所にいるなんて珍しいからな。
「ちょっとセリオにサテライトシステムを使ってもらおうと思って」
綾香が言う。
サテライトシステム?
確か、人工衛星を利用して来栖川のデータベースから
必要な情報ダウンロードするシステムのことだったよな?
「で、何に使うんだ?」
「何が?」
「だから、何でサテライトシステムを使うんだ?」
「ちょっと試したいがあってさ」
「へぇ・・・。それは?」
「セリオやマルチの毎日の行動データは、すべてメインコンピュータに
バックアップされているのは知ってるよね?」
「あぁ」
確かに、毎日夜にマルチは研究所のコンピュータにアクセスして、
データのメンテを兼ねてデータ送信を行っている。
他にも、月1回マルチ自信もメンテナンスのために研究所に通っているときも、
マルチのコンピュータからデータを回収しているっていうのも聞いているしな。
これからの研究のためにデータを保存していると長瀬のおっさんは言っていたが・・・。
「それで、最近知ったんだけど、セリオのデータバンクの『性格』のデータに
私たちのデータがあるっていうのよ!」
「「ええっ!?」」
素っ頓狂な声をオレ達があげる。
「データは全部で92種類、あかりさん、マルチさん・・・のもあります」
「わ、私もあるの!?」
驚愕するあかり。
「へ? 私もですか?」
目をパチパチさせるマルチ。
「はい、そのようです」
冷静に答えるセリオ。
「で、いったい、どんなのかっていうのを見ようなかって・・・」
「へぇ、面白そうじゃん。オレ達も見ていいか?」
「別に構わないわよ」
性格か・・・。
どんな感じなんだろ?
「じゃあ、とりあえず始めにあかりの性格をダウンロードしてみて」
綾香が言う。
「はい、畏まりました」
ブウゥゥゥゥン。
昆虫の羽音のような音がセリオから流れる。
「それにしてもあかりか・・・。いったいどんな感じになるんだ?」
「わ、私も自分の性格なんて判らないよう」
「はわわ、楽しみです〜」
「見応えあるわね」
・・・。
・・・。
「データ受信、完了・・・」
そうこうしているうちにロードが終了した。
ふにゃ。
「おぉぅ! これは・・・!?」
ツリ目だったセリオの目がタレ目に・・・!?
「どうだ? 気分のほうは?」
オレの問い。
「うん、大丈夫だよ。浩之ちゃん♪」
・・・。
今のは、まぎれもなくあかりの口癖!
セリフもあかりだ!
いつものセリオなら、
「はい、データの整合性100%・・・問題ありません」
とか何とか言って応えるというのに・・・。
でも、これはこれで・・・。
ピトッ。
そんなことを考えていたら、急にセリオはオレに擦り寄せてくる、
「な、何だ!? セリオ!?」
セリオの行動にどもりるオレ。
「浩之ちゃん♪(ポッ)」
顔を赤くしながら、抱きつく。
「な、な、ななな・・・」
あかりも同時に耳まで赤くする。
「こんなこと、私しないよ〜!」
「そうか? じゃ、試してやるか?」
そう言って、セリオのほうを向く。
「セリオ、お手」
「きゃうん♪」
そして、右手を乗せるセリオ。
「おかわり」
「きゃうん♪」
今度は左手を乗せる。
「あご」
「きゅうん♪」
ポフッと顎を乗せる。
「そ、そっくりですぅ〜!!」
感動中のマルチ。
「そっくりじゃなぁぁぁ〜〜い!!」
あかりが叫ぶ。
「しゃ〜ね〜な。ほら、あかり、お手」
「きゃうん♪」
空いている左手を差し出すと、あかりは喜んで右手を乗っける。
「・・・」
無言の綾香。
「も、もういいわ・・・」
溜め息をつきながら、綾香は言った。
ブウウウウゥゥゥン。
再びセリオから昆虫の羽音のような音が聞こえる。
・・・。
・・・。
「データを削除しました」
セリオが言うと、いつもの表情に戻る。
ちぇっ、結構面白かったのに・・・。
ちなみに、あかりはまだオレに手を乗っけたままだ。
「あ〜、あかりってああいう人だったのね・・・。もうロードしないでね」
ボソッと綾香は呟く。
「ところでセリオ。あかりになった気分はどんな感じだった?」
オレは聞いてみる。
「・・・不思議です」
とまどっているようだ。
まぁ、他人の性格なんて判らないもんな。
「え〜と、じゃ、綾香のをやってもらうか・・・」
「え!? あたしのもやるの!?」
「いいじゃねぇか、セリオやってくれ」
「はい」
再びセリオは沈黙した。
・・・。
・・・。
「ロード終了です」
どうやらロードが終わったようだが・・・。
いったい、どうなるのかな?
「はぁ〜い、浩之♪」
いつもの冷静なセリオの表情はなく、ネコっぽい表情でオレのほうに微笑みかける。
う〜ん・・・。
表情は綾香に似ているな・・・。
「おぉ、変わってる!」
「変わったじゃないわよ!」
ずいっと、オレのほうに歩み寄る。
「まったく、毎日女の子とばかりいて・・・」
「セ、セリオ・・・?」
「セリオちゃん?」
「はう〜」
オレやあかり、マルチは驚きの表情で見る。
「あかりや、葵や姉さんまで・・・」
「え、えっと・・・」
セリオの変貌に言葉のでないオレ。
「たまには、1人の女の子の気持ちにもなりなさいよ〜」
「あ、あの・・・セリオさん・・・?」
「こうやっているけど、私だって浩之のこと・・・」
オレのほうに近づいてググッと顔を覗き込む。
そして、スッと目を閉じて顔を近づける。
「ちょっと、待ったぁぁぁぁーーーっ!!」
綾香が思いっ切り叫ぶ。
ちなみにあかりとマルチは顔を真っ赤になってジッと見ている。
青春だねぇ・・・。
って、じゃなくって!!
「な、何なのよ!! なによっ!! あたしはそんなんじゃないわよっ!!」
飽く迄、否定する綾香。
だが、顔は真っ赤なままだ。
「とっととそんなデータは削除なさい!!」
「かしこまりました」
作業に取り掛かるセリオ。
しかし、さっきの続きが気になり、ちょっと残念に思うオレだった・・・。
・・・。
・・・。
「削除完了」
おっ、終わったか。
「じゃ、後はマルチだな」
「はい、ロードします」
早々に始めるセリオ。
「いったい、わたしってどんな感じなんでしょう?」
なんかわくわくしているマルチ。
う〜ん・・・マルチなセリオか・・・。
想像もつかんな。
い、いや、まさか、ドジセリオに!?
一概に否定もできないな・・・。
『はわわわ・・・』なんて言ってコケていたりして・・・。
いつものセリオからしてみては凄くいい感じだ。
・・・。
・・・。
「あ、終わったみたいよ」
まだ頬の赤い綾香がそう言う。
ニコッ。
そして、セリオはゆっくりとこちらを見て微笑む。
おおっ!! セリオが笑ってる!?
何か、凄く可愛い!!
新鮮だぞ!!
「ロード終了しましたですぅ♪」
おおうっ!? セリフも口調もマルチだ!!
「へえ、今回は良いじゃない」
綾香はマルチなセリオが気に入ったようだ。
「はうぅ〜、セリオさん。笑うととってもかわいいですぅ♪」
「本当、セリオちゃん可愛いよ」
あかりとマルチはニコニコしながら言う。
するとセリオは、ポッと顔を赤らめる。
「はうぅぅ・・・」
と照れている。
その表情もまた可愛い・・・。
「どれどれ・・・」
そう言って、オレはセリオになでなでしてみる。
なでなで・・・。
「ひ、浩之さん!?」
目をトロンとしながら、そのままジッとしているセリオ。
なでなでなでなでなでなで・・・。
「あうぅ〜(ポッ)」
喜びの表情までマルチと一緒だ。
本当に嬉しそうな表情だ・・・。
「ホント、マルチそっくりだな」
「マルチちゃんそのものみたいだね」
オレはそう言いながら、セリオの頭を撫で続ける。
「・・・」
ん?
じぃぃぃぃぃぃぃーーっ。
そんなとき、無言に凄く切ない視線を送るマルチ。
多分、羨ましいんだろうな。
何だか、心の底から訴えているような感じだ。
まったく、マルチのヤツ・・・。
家に帰ったら、いくらでも撫でてやるのに・・・。
「ほら、マルチ来い」
「は、はいっ!」
なでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなで・・・。
「「はわわ〜〜〜♪ はうぅ〜〜〜〜♪」」
なでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなで・・・。
「「んふぅ〜〜〜〜〜♪」」
オレの撫でる動きと同時に、2人の声がステレオのようにハモる。
何か、凄く快感・・・。
「うん、気に入ったわ! 今日1日この状態でいてよ」
嬉しそうに言う綾香。よっぽど気に入ったらしい。
「はいですぅ!」
それを明るい声で返すセリオ。
「じゃあさ、そろそろ帰るわ浩之」
「ごきげんようですぅ、浩之さん〜」
マルチなセリオは、綾香と手を繋ぎながら一緒に帰っていった。
その後ろ姿は、正に姉妹のようだった。
・・・ふぅ。
面白かったな・・・。
「浩之ちゃん、私はあんなんじゃないからね」
感傷に浸っているとき、今だ、そんなことを言うあかり。
マルチは未だ余韻に浸っている。
「お手」
「きゃうん♪」
しかし、全然説得力のないあかりだった――。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
次の日、来栖川家が半焼するという事件が新聞に載った。
原因は・・・言うまでもないだろう・・・。
それにしても・・・。
マルチの性格を引き継ぐのはいいが・・・。
ドジまで引き継ぐなんて・・・。
それも、マルチよりも酷いんじゃないのか?
「朝です! 朝ですぅ!! 朝ご飯作るですぅ〜♪ はわ! はわわわわ・・・!!」
がしゃぁぁぁぁぁぁーーーん!!!
・・・。
・・・。
オレの家も気を付けよう・・・。
おわり
あとがき
どうも、ぴろりなのだ。
雨音さん、1000HITおめでとうなのだ〜。
どうだったでしょうか?
久々にSSを書いたので決して上手いと言えないものですけど・・・。
(久々でなくても下手なんですけどね)
よければ、貰ってくださいですぅ〜♪
ちなみにやっとセリオネタが出てきましたので、そのネタで送りますぅ。
一番好きなのがセリオなので・・・。(てへっ♪)
それでは、これからも頑張ってくださいなのデス〜。
ではでは〜
小説作成日 2001/03/25
ども、ありがとうございます〜♪
セリオ・・・雨音も大好きです。いや、そりゃ〜もう、大好きですよ♪♪
とってもよかったです〜♪