新年もの♪
さて・・・ついに「動乱の」という冠を与えられた2001年が終わり、新たな年がやってきたわけだ。
しかし、そんな大げさに言ってみたところで、どうという事もない。
別に新しい年になったから全てがリセットされるわけじゃない。
この不況がきれいさっぱりなくなるわけじゃないし、増え始めている凶悪犯罪が起こらなくなるわけじゃない。
人々は日々の暮らしを、変わることなく続けるだけのことだ。
それは俺も同様。
でもそれに不満はない。
変わらなくったって・・・構わないんだ
新しい年が新しい形をしていなくたって構わないんだ。
だって俺には・・・
『New Year’s Life』
「ふわぁ・・・人がいっぱいですねぇ」
「佐祐理さん!手、手、繋いでないとはぐれちゃうよ」
「祐一・・・苦しい」
「我慢しろ、舞。上まで上がりきれば、なんとか脇にそれられる筈だ」
右手に舞の手を、左手に佐祐理さんの手を握るという、とても幸せな状況にありながら・・・俺にはそれを堪能している余裕はなかった。
なにせ、何処を見ても人、人、人!
大して広くもない石の階段には、危険なほどに大量の人が群がっていた。
なぜ俺がこんな場所にいるのか・・・
事の始まりは深夜に突然家を訪ねてきた佐祐理さんの一言。
「三人で初詣に行きませんか?」
紅白歌合戦も後半は演歌ばかりだし、裏番組も大しておもしろくない・・・
それになにより・・・佐祐理さんと舞は・・・振り袖姿だったのだ!!
まさかこれで断ったら人間失格の烙印を押されても文句言えないだろう。
当然俺は二つ返事で了承したのだった。
そして艶やかな振り袖姿の二人に挟まれる、まさに両手に花という状態で近くの神社へ向かうこととなったのだが・・・
「ふぅ・・・なんとか一番上までたどり着いたな」
はんば人波に流されるようにしながら、とりあえず石段を登り終えた俺達は、そのまま神社の本殿へと向かう波からそれて人の少ない端の方でやっと息をつくことができた。
「二人とも、大丈夫?」
「・・・はちみくくまさん」
「あはは・・・佐祐理も大丈夫です」
紅白が終わる前に出れば空いてると思ってたんですけどね・・・と呟く佐祐理さん。
「同じような考えの人が多かったみたいですね」
「すみません」
「謝らなくても良いですよ。俺、佐祐理さんと初詣にこれて嬉しいですから」
ぽかっ
「いたっ!・・・いきなりなにすんだよ、舞」
「あはは〜。舞も祐一さんに嬉しいって言って欲しいんですよ」
ぽかっ
「なんだ、それならそうと言えば良いのに。舞と一緒に初詣に来れて嬉しいぞ」
ぽかっ!
「・・・私も嬉しい」
「だったらいちいち殴るなよ・・・」
「舞は照れ屋さんなんですよ」
その一言にまた舞がその手刀を振りかぶる。
振り袖という普段と違う服装ながら、そこにいたのはいつも通りの舞と、佐祐理さんだった。
「しかし・・・またあの人波の中に戻るのかと思うと、ちょっと憂鬱だな」
ものみの丘のおよそ反対側にあるこの神社だが、意外にも有名だったのかも知れない。
八年前に行った記憶はないのだが・・・
「人が空くまで待ってましょうか?」
「空かないと思いますけどね・・・むしろこれから増えるでしょ」
「・・・疲れた」
「む・・・」
「そうですね、これだけの人の中を歩いてきたんですから・・・。少し休みましょう」
女の子二人にそういわれてしまうと、こちらとしても従わざるを得ない。
まぁ正直なところ、俺もちょっと疲れてたし・・・
ざわつく人の波からすこし離れたこの場所は、本来の「静寂」という姿をわずかに残していた。
休むにはちょうどいい場所といえる。
「しかし・・・まだ新年になってないのに本殿の方に行ってる奴らも変な感じだよな?」
「いま、何時ですか?」
言われて時計を見る。
ちなみに佐祐理さんも舞も時計はしていないようだ。
まぁ、振り袖なのだから当然といえば当然だが。
「えっと・・・あ、もう11時58分ですね」
「もうそんな時間なんですねぇ」
だいぶ早く出たつもりだったのだが、階段での渋滞が影響したのだろう。
「しかたないですし、ここでカウントダウンしますか」
「あはは〜いいですね〜♪」
「じゃあ、カウント110から・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・舞・・・」
ぽかっ!
「・・・長い」
「遅いっ!もっと早く!」
「あはは〜」
「まったく・・・しっかりしてくれよ、舞。そんなんじゃ上方お笑い大賞をとれないぞ」
「・・・がんばる」
「がんばるのかよ!」
「あはは〜、祐一さんお上手ですね〜」
ツッコミを誉められても嬉しくないですよ・・・
俺はボケでいきたいんです!
「・・・って、そんな事言ってる間にもうあと10秒もないじゃねーか!」
「カウントダウン・・・」
「えっと・・・5」
4
3
2
1
0ッ!
周囲でいっせいに歓声がまきおこった・・・。
さて・・・こうしてついに「動乱の」という冠を与えられた2001年が終わり、新たな年がやってきたわけだ。
しかし、そんな大げさに言ってみたところで、どうという事もない。
別に新しい年になったから全てがリセットされるわけじゃない。
この不況がきれいさっぱりなくなるわけじゃないし、増え始めている凶悪犯罪が起こらなくなるわけじゃない。
人々は日々の暮らしを、変わることなく続けるだけのことだ。
それは俺も同様。
でもそれに不満はない。
変わらなくったって・・・構わないんだ
新しい年が新しい形をしていなくたって構わないんだ。
だって俺には・・・
「あけましておめでとうございます」
「・・・おめでとう」
俺にはこの場所があるから。
この二人が居るから。
無口で無表情だけど、子供っぽくてなんかほっとけない舞。
いつも明るくて、でもときどき悲しそうで、だからこそ抱きしめたくなる佐祐理さん。
こんな二人が居るんだ。
(あいにく・・・新鮮な刺激には事欠かないんだよ)
だからまぁ、俺達には・・・
「あけましておめでとう」
この一言以外には必要ない。
「舞・・・佐祐理さん・・・今年もよろしくな!」
あとがき
新年あけましておめでとうございますSSです。
こういう時期限定ものはあまり書かない方がいいとは思ってるのですが、ついつい書いちゃいました(汗
ちなみにこれは初詣物とあけましておめでとう物を別々に書いてて、それを接合した物だったりするのです・・・。
おかげで接合点がちょっとやばめな事になってます・・・(汗
あと、タイトルも適当なので・・・これも大目に見てください(涙
では、2002年も、皆様どうぞよろしくお願いいたします。