『都古ちゃん120%R』





 ある、昼下がり――――

 ふと、一枚の紙を見つけて、あたしは作業の手を止めた。
 その紙がすごく気になったというのもあるけど、それよりなにより、面倒くさい部屋の片付けなどという作業を初めて、はや1時間。いい加減疲れ果てていたので、ちょうど良い休息になると思ったからだ。
 その紙は、くしゃくしゃの状態で、机の裏っ側に落ちていたものだった。
 ちょっと埃をかぶったそれを、広げてみる。
「……2ねん3くみ ありまみやこ……」
 おなじみの原稿用紙に書かれていたのは、ぐにゃぐにゃでへにょへにょで、ある意味暗号的な文字ではあるが、間違いなく……あたしの名前だった。
 どうやら、小2の時に国語の授業の中で書かされた作文(小2なのだからほとんど漢字はない)らしい。
 あたしは、その作文に興味を感じた。
 この作文がなにについて書かれたものなのか――――
「……わたしの家族」

『わたしのかぞくはおとうさんと、おかあさんと、しきおにいちゃんのよにんかぞくです。』

「――――……」
 四人家族……四人の家族。
 あたしと、お父さんと、お母さんと……

『しきおにいちゃん』
 
 物心がつきはじめたころに、突然現れたお兄ちゃん。
 すこし見上げたところにある、情けなくて弱っちい笑顔。
 当たり前のように与えられた、兄と妹の関係。

 でも、今はもう無い。

 自分の部屋の壁を見つめる。
 その薄っぺらい壁の向こうには、ほんの少し前まで「兄」という家族が住んでいた。
 でも、今はもう壁に耳をつけてみても物音一つ聞こえない。
 あたしを、都古ちゃん、と呼ぶ声も無い。
 宿題を教えてくれる、事も無い。
「志貴……おにいちゃん」
 どうしてこんなに寂しいんだろ?
 どうしてこんなに悲しいんだろ?
 よくわからない。
 ただ、なんとなくだけど全部志貴おにいちゃんが悪いような気がした。
 いきなり現れたくせに、いきなり居なくなるなんて、そんなのヒキョーだ。
 そして、そう思ってしまったからには、あたしがするべき事は一つだった。

「志貴お兄ちゃん、だっかん作戦ほっそぉ〜く!」

 あたしは、片付けていたノートを引っ張り出して、そこに第一号作戦――主に陽動と奇襲。情報とスピードが鍵――の案を練り始めた。
 ……もちろん、部屋の片づけなど後回し!
「んっふふ〜♪」
 待っててね、お兄ちゃん。
 絶対、ぜぇったい、ゲットするんだからっ!!






あとがき

最強妹、都古ちゃん支援SSです〜♪
いや〜、可愛いですね♪
青本の時点から気に入ってたのですが、メルブラで一気に爆発しました。
そりゃもう、問答無用で支援SSを書いちゃうくらいにっ。
……でも、雨音はロリじゃないですよ?(説得力ゼロ