壊れた月夜の戯言...
夜。遠野志貴の部屋。
「レン・・・いつもの奴、頼むよ」
上半身裸の彼の姿に少し恥ずかしそうに顔をそらしていた少女は、その言葉に一瞬ビクリと身体を振るわせた。
自分の勘違いであることを願って視線で問いかけてみたが、その希望は叶えられなかった。
「頼むよ」
自分の主人であり、最愛の人でもある志貴に懇願されてしまっては、レンには断る術がなかった。
これから起こる出来事に軽いおびえを感じつつも、作業を始めた。
ゆっくりと自らの手を下ろし、後ろからスカートの中へ潜り込ませていく。
レンほどの美少女が恥ずかしそうにスカートの中に手を入れるその姿は、ひどく背徳的で、淫猥だった。
自分の姿のあまりの情けなさに、涙をためながら再びレンは志貴に問いかけた。
しかし、かえってきたのは興奮した牡(おとこ)の視線だった。
−−−んっ!
レンの手が「その場所」に触れた瞬間、彼女の身体がビクッと震えた。
自分でもさわり慣れていないのだ。
だが、自分の手ごときで驚いていられる間はまだマシであろう。
なにせこれから、その場所を目の前の男性に弄くりまわされるはめになるのだから。
その事実からは逃れることは出来ない。
レンに出来ることは諦めること。ただそれだけだった。
−−−んくぅ!
意を決し、「その場所を」しっかりとつかむ。
そして、ついに・・・それをスカートの中から引き出した。
「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!シッポだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
黒いスカートの裾からぴょこりと飛びだしたその黒くて細長い物体を見た瞬間、志貴の歓声が部屋の中に広がった。
そう、レンがスカートの中に手を突っ込んでいたのはシッポを取り出すためだったのだ。
レンはもともと黒猫である。しかし普段、レンは人間の姿をとっているときは、猫の部分(耳やシッポ)は存在していない。
それは別に彼女が故意に隠しているのではなく、人間に姿を変えるときは勝手に無くなってしまう物なのだ。
そのために、人間の姿のままシッポを生やそうとすると、やや苦労が必要なのである。
具体的に言うと自分の手で尾てい骨の部分に魔力を送り込み、部分的に変化を解かなければならないのだ。
というわけで先ほどのスカートの中に手を突っ込むという姿をとったわけである。
・・・と、状況説明している時間を待ちきれなかったのか、志貴がレンに襲いかかった。
「しっぽ!しっぽ!しぃっっぽぉっ!!」
「人間やめちゃってます」と言わんばかりにレンのシッポにからみつく志貴に対し、レンの方は迷惑そうだ。
だが、七夜の血を完全に発動させてしまっている志貴には、すでにシッポしか見えていない。
「あぁ・・・やっぱりこの毛触りがなんとも♪このフニフニくにゃくにゃ加減が最高♪やっぱ生シッポ!ビバ生シッポ!ワンダフルドリーマー生シッポ!!」
お外でやったら問答無用で病院or警察レッツゴーな壊れっぷりの志貴。
ちなみに、上半身裸だったのはその毛触りを身体全体で感じたかったからのようだ。
「シッポ!生しっぽっ!やっぱりシッポは生シッポだよね!コスプレなんかのあの似非シッポなんて邪道だよ!あんな動きもしないへにょへにょシッポなんてノーセンキュー!美凪(AIR)風に言うと『動かないシッポに意味なんて有るんでしょうか?』って感じだよ!」
志貴がなぞの独り言(しかも意味不明)を初めた時点で、レンはシッポを投げ出しながらごろんと横になった。
−−−もう勝手にしてください
「ラヴ〜♪シッポ〜♪ミラクル〜♪あなたに一生ついていきます〜♪」
一人叫びながらそのまま一晩中シッポと戯れ続けた志貴。
これさえなければなぁ、というレンのため息に志貴が気づくのはまだまだ当分先の事である。
同刻、某所。
「うふふ・・・なるほどぉ。志貴さんのウィークポイントは尻尾なのですネェ♪」
ヘッドホンをはずし、嗤いながら薬剤の調合を始める謎の割烹着の少女。
後々、この少女がとんでもない災厄をふりまくことになるのだが・・・それはまた、別のお話。
了
あとがき
雨音は隠れ尻尾属性です。
・・・べつに隠れなくても良いんですけどね・・・なんとなく恥ずかしいような気がして(苦笑
とにかく、雨音は尻尾が好きです。
個人的には狐のあのふさふさ尻尾が一番なのですが、猫でも犬でも、大好きです。
兎の尻尾はあまり好きじゃありません。ネズミとかの毛の生えてない奴はダメです。
でも、リボン付き恐竜さん尻尾(ギルティーのディズィーとかスレイヤーズNEXTのドラゴンの女神官(?)など)は大好きなのです♪
というわけで、今回は志貴君に壊れていただきました♪
レンたんの尻尾・・・弄ってみたいです(ぉぃぉぃ