0/乙女の密室――施錠完了


 カチャリ、という音で、天野美汐は自分が騙されたのだと納得した。
 ドアの向こうで少女達の楽しげな笑い声と、走り去っていく靴音が聞こえる。
 時刻は放課後。空は夕焼けを通り越して気味の悪い紫を見せている。グラウンドを見下ろすとクラブの生徒達も帰り始めていた。
 彼女は窓際の自分の席に着いた。可愛げのないお尻の下の相棒はキシリとも言わず、彼女の周りにある物は静寂のみ。
 
 ―――さて、どうしましょうか。
 
 自分の中に問いかける。答えはいくつか上がったが、いまいちどれも気に入らない。
 どうせ家に帰っても特別やることがあるわけでないし、この状況はけして絶望的な状況でもない。幸い、時期は夏休み前の暖かい時期であることだし。
 彼女はポケットから一枚の手紙を取り出した。
 ありがちな封筒にありがちなシール。「天野美汐様へ」の文字。見つけたのはありがちな場所……下駄箱の中。当然、内容もありがちだった。
『本日放課後、おまえの教室で待っていてくれ。少し遅くなるかも知れないけどとても重要な事を伝えたいので絶対に待っていて欲しい』
 ただその差出人の名前だけは、ありがちではなかった。
『相沢祐一より』
 
 ―――さて……どうしましょうか?

 前述したとおり、この状況は絶望的ではない。いや……自分の行動如何ではむしろ好都合かも知れない。
 再び……しかし、彼女は自分にではなく『その名前』に問いかけ……そして、決断した――――




『美少女探偵美坂香里の事件簿 〜乙女の密室〜』




1/前説――栞嬢からの諸注意


 初めまして! プリティーマスター、ミラクルしおりんこと、美坂栞です!
 え? なに訳のワカラン事言ってるんだ、ですか? ちょっとしたジョーダンですよぉ。つまらない前説を面白くするためのスパイスです!
 え? 滑ってる? えぅ〜そんな事言う人嫌いです〜!
 ……と、つかみはOKって感じで……さて、このSSはKANONSS-LINKさんの所の企画、『SSこんぺ』に投稿した物の加筆修正版です。別名蛇足とも言います♪
 件の企画に送ったSS……実は、企画の制限が20kまでだというのに何を血迷ったか作者は「そだ、ミステリ物で行こう!!」なぁんてお馬鹿ちゃんな決断をしてしまい、長々と書きまくったあげくに結局後になって削りに削り、ミステリとしての出来はともかくSSとしてはつまらない形になってしまったのです。
 その上、最初の投稿でちょっとミスってしまい、いたちんさん(管理者さん)に大迷惑をかけてしまったという……ホントにおバカですね。
 しかしながら、結果の方は第五位入賞というすばらしいもので、作者もホッとしてました。
 
 まぁそれはさておき……この作品についての注意事項があります。ちゃんと聞いて、覚えて、その後読んでくださいね。
 タイトルには『探偵』だの『事件簿』だの『密室』だの物騒な単語がならんでいますが、実際の所ライトノベルです。誰も死にませんし、過去の怨念もありませんし、家督争いも起こりません。いたって平凡な、女子高生の日常です。
 だいたい、20k制限で本格ミステリなんて出来るわけ無いじゃないですか〜♪
 タイトルから純粋なミステリ物を想像した大きいお兄さん達は、その辺の所を注意して読んでくださいね〜。
 でわ、これからわずかばかりの時間、不思議と、狂気と、そして乙女の隠された心理の世界をご堪能くださいませ〜。




2/事件発生――密室盗難事件?


「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
 その日、1−Bに響きわたった悲鳴を上げたのは鎌田美咲だった。ショートの髪を生徒指導部に怒られない程度に茶色に染めて、マグネットタイプのピアスをつけた今時風の女の子。クラスの中ではムードメーカー役を担っている、と少なくとも彼女自身は思っている。 
 そんな彼女が今、自分の机の中をのぞき込んで呆然としている。すぐに彼女の友人である二人の少女……三島沙夜香と鴻池麻美が近寄り、どうしたの? どうしたの? そう問いかける。
「無い。無いのよ! 私の絵の具入れが無い!」
 なんだ、それだけの事かよ……と、その場に居合わせたクラスメイト達はそろってため息を吐いた。鎌田は意外にも美術部の部員で頻繁に部室に顔を出している。といっても純粋に賞を狙っているとかそういう事はなく、ただのお遊びだが。
「昨日、ちゃんとここにあったの?」
「わかんない……昨日、机の中に入れておいた筈なんだけど……」
「じゃあさぁ、昨日もクラブに行ったんだし、部室にあるんじゃないの?」
「そんなはずないわよ。だって昨日は使ってないもの」
 じゃあ何しに部室へ行ったんだ? と内心でつっこむクラスメイト一同。どうせ、三人で延々としゃべっていたのだろう。まじめにがんばっている一般の生徒達に同情する。
「私は確かにこの机に入れておいたんだから……そうよ! きっと天野さんが隠したのよ!」
 なにがどう展開して、「きっと」になったのかは激しく謎だが、すでに鎌田の中ではそれが決定事項だった。窓際のいつもの席でいつも通り静かに座っていた天野美汐に詰め寄っていく。
「どこに隠したのよ!」
「なんの事でしょうか?」
「私の絵の具入れを隠すのなんて、あんた以外いないでしょ!」
 鎌田の暴虐に対し、美汐は何の反応も示さない。怒るわけでもなく、焦るわけでもなく、ただ無表情を返すだけだ。それがきっと鎌田を余計に怒らせているのだとは分かっているのだが、美汐はそういう対人関係はひどく不器用だった。
「さあ! 吐きなさい! どこに隠したの!?」
「私じゃありません」
「嘘よっ!? ちょっとみんな探してよ! きっとどこかに隠してある筈だから!」
 鎌田のため、というよりは無視して絡まれたら面倒だから、という理由でクラスメイト達は教室の中を隅から隅まで探し回った。といっても、所詮は一教室。物を隠せるような場所は限られていて、探索はすぐに終わる。
「どこにもねぇぞ〜」
 呆れたような男子の声。しかし鎌田は諦めない。
「どこか他の所に隠したのね! この教室の外に!」
「それは……無理です」
「なにがっ!」
「教室の外に持ち出すのは無理だ、と言ってるんです」
「無理な分けないでしょ! どうせ昨日あの後っ……」
「無理だよ……」
 そう口を開いたのは美汐でも、鎌田達でもなく、目立たないクラス委員長の佐野美佳だった。委員長らしく(?)メガネをかけている。しかし、三つ編みではない。減点5。
「わ、わたし……今朝一番に教室に来て、鍵を開けたの」
「だからなによっ!」
「え、あ、その……その時天野さんは……中に居たの」
 佐野の説明はいまいち要領を得ず、その真意はクラスメイト達にはまったく届かなかった。
 しかしその意味を理解できる人間がこの場には四人いた。天野美汐本人。そして彼女を前日の放課後に教室に閉じこめた鎌田達三人。
「あなた、まさか……」
 ぞっ、と鎌田の顔が真っ青に変化する。
「まさか、昨日あのまま過ごしたの!?」
「……知り合いの方から聞いていましたが、どうやら本当にこの学校の警備はザルのようですね」
 感情の読みとれない、抑揚のない声。鎌田達は身体を震わせた。彼女たちは自分たちのしでかした事の重さと、そしてそんな事をされたというのに深くて暗い闇のような美汐の無反応さに始めて恐怖した。
「朝来た時、前も後ろも鍵はちゃんと掛かってたし、窓も開いてなかったよ。それにその後もずっと教室に居たの。だから天野さんには……」
「でも、でも! あなた以外にこんな事する人いないじゃない!」
「物理的に不可能です。私は、外にでる事は出来なかったんですから」
 本来とは逆の形の、容疑者を閉じこめた密室。最も疑わしき人物が、最も安全な場所にいたのだ。
 天野美汐は無実を確信し、鎌田は彼女の有罪を確信している。しかし、お互いに決定的なカードに欠ける状況。
 その時、彼女(ジョーカー)が場に登場した――――




3/迷探偵登場――美坂栞


「よばれて飛び出てジャジャ、ジャジャーン!」
 場の雰囲気にそぐわないハイテンション。美坂栞はいつもこんな感じだ。
「美汐ちゃんは犯人じゃありません! 私がそれを証明して差し上げます!!」
「結構です」
「えぅ〜そんな事いう人嫌いですぅ〜」
 隣のクラスの美坂栞は美汐の数少ない友人だった。同じ一年同士であるし、同じ人物を慕う者として。
「お心遣いは感謝しますけど……」
「遠慮しないで!」
 遠慮しているのではなく、遠回しに「心許ないから嫌」と言っているのだが、栞はそれに気づかない。
 いや、気づいているのかも知れないが、それで引くほど柔な彼女ではなかった。
「あなたっ! えっと佐藤さん? さっき言ってましたけど、あなたが朝登校してきた時教室は間違いなく密室だったんですよね?」
「密室なのか分からないけど……扉は前も後ろも開いてなかったよ」
「そうですか。ここに限らず、全ての教室は前は外からしか鍵がかからず、後ろは内からもかけられるけどキーが必要です。そしてそれのためのキーは?」
「ちゃんと職員室の壁に掛かってたよ」
「鍵はキーでしか開けることも閉めることも出来ず、その鍵は職員室にあった。という事は、美汐ちゃんはこの教室から出ることは出来なかったという事です! よって、美汐ちゃんは無罪です!」
 ドドーンと薄い胸を張り、宣言する栞。しかしそれに黙っている鎌田ではない。
「合い鍵を造っていたとかは?」
「へ?」
「もし彼女が合い鍵を造ってたとしたら鍵が職員室にあっても関係ないでしょ?」
「え、えう……」
「それにぃ」
 と、この少し間延びした声は三島沙夜香だ。
「窓からでれるんじゃない?」
「ここは三階ですよ!」
「でもぉ、あれを使えばぁ……」
 比較的大きめの窓ガラスは当然ながら簡単に開け閉めできる仕掛けで、顔を突き出してみると下に花壇が見えた。事務員の古賀氏(大阪府出身・62歳)が可愛がっている花壇で、以前野犬に荒らされた時の古賀氏の怒りようといったらもう……普段温厚な人間ほど怒ったときに恐ろしいと言うのは本当らしい。
 そんな花壇も、誰かの足によって踏み荒らされた様子はない。どうやら、窓から飛び降りるなんて言う凶行を行った人間は居ないようだ。
 しかし、三島がいわんとしている事はそんな事ではない。窓から顔を突き出した状態で視線を横に向けてみると、すぐそばに屋上から水を下ろすためのパイプが通っていた。……一直線に、地面まで。
「あれを使ったんだとしたら、犯人は間違いなく女よね」
 男子の体重を支えられるほどの強度は無いだろうから……と美汐を睨み付けながら鎌田。
 美汐はその視線から目をそらし、栞の顔を見る。
「無実を証明してくれるんじゃなかったんですか?」
「わかってます! なんとか……大丈夫ですよ!」
 欠片ほどにも「大丈夫」さを感じさせない表情で、それでも栞は諦める様子はなかった。
 うー、と考え込むみ……そして何かを思いついたようだ。
「そうです! 祐一さんを呼んできましょう!」
 おまえが解決するんじゃないのか……とすでにギャラリーと化しているクラスメイト一同がつっこむ。栞の中では「私の苦労は祐一さんの苦労」というのが定説になっているのだ。
「ちょっと待っててくださいね! 今すぐ呼んで……」

 キーンコーンカーンコーン

「……呼ぶのは、次の休み時間という事で。……じゃ♪」
 止める間もなく、来たときと同じ勢いのまま自分の教室へと戻っていく栞。
「なんなんだ?いったい……」
 残された1−Bの生徒達は、謎が解決されないままの重苦しい雰囲気のまま一時間目の授業を受ける羽目になった――――




4/名探偵登場――美坂香里


「それ、じゃあ、はぁ……はぁ……呼んで、きましょう……はぁ、はぁ……かぁ」
「……一時間目、体育だったんですね」
 汗だらだら、息はぁはぁの栞の姿に、美汐は少しだけ同情した。
 栞は長く病気だったらしく、体力に同じ年代の平均値と大きな差がある。ばてるのも仕方ないだろう。
 しかし、それでも彼女は今だ体育の授業を休んだことはなかった。周りの人間は彼女を心配して「休んでも良いんだよ」と言っているのだが、彼女はそれでも聞かなかった。
「夏にマラソンなんて、嫌がらせです〜。拷問です〜。悪意が感じられます〜」
 などとさんざん愚痴っている彼女だが、以前「すごく疲れるし、辛いときもあるけど、やっぱり楽しいから……」と微笑みながら言ったことがあった。たぶん、その一言を聞いてからだと思う。美汐と栞が個人的に話すようになっていったのは。
「うぅ……明後日もあるんだと思うと、気分が沈んじゃいます」
「そろそろプールが始まる頃だと思うんですけど?」
「なんか、改修工事が長引いちゃって、プール開きは来週に持ち越しらしいですよ。……って、体育の授業で聞きませんでした? たしか美汐ちゃんのクラスって昨日授業ありましたよね?」
「なんで他のクラスの時間割を知っているのかはあえて追求しませんが、確かにありましたよ」
「じゃあ、なんで……って、もしかして、サボリですか!?」
「人聞きの悪いことを言わないでください。さぼったりなんかしません。ただ、お腹が痛かったから保健室で休んでいただけです」
「それはほとんどサボリと一緒ですよ〜」
 彼女たちの通う学校の保健室は、事実上サボリ学生の巣窟だった。臨時で来ている保健医、鹿島姫香女史(神奈川県出身・年齢不詳)はこの学校一のサボリ教師なのだ。
 まず、ほとんど保健室にいない。机の上に携帯番号を書いた紙を置いて、どこかへ行ってしまう。
 さらに、ほとんど診察しない。どんな分かりやすい嘘をついている者でも腹が痛いと言えばベットで休ませるし、早退したいと言えば許可する。
 しかも、不健全な行動をとる。煙草は吸うし、愛用の子犬柄の魔法瓶にはいつも怪しげなアルコール臭漂う液体が入っている。
 ……だがしかし、腕はいい。国立病院の研究会にも顔を出すほどで、どんな仕事でもテキパキとこなす。こなした後、たっぷりと休む。
 そんなんだから、生徒には非常に人気があって、保健室はいつもサボリ学生達の駆け込み寺と化していた。
「いつもいつもサボリ学生がいる訳じゃないですよ。私が行ったときも、他に誰もいませんでしたし」
「うぅ〜、でも怪しいですね〜」
「ほら、いつまでもそんなこと言ってないで、早く相沢さんを呼びにいきましょう。休み時間は限られてるんですから」
「えぅ〜正論で押し切ろうと言う姿勢がことさら怪しいです〜」
 などとぶつくさ言う栞を急かせながら、美汐達はそろって階段を下りた。


 彼女たちの学舎は小文字の『h』の形をしている。下辺の『n』の形の部分が教室や職員室などがある場所で、上辺の『l』の部分が保健室や資料室、実験室などがあった。ちなみに、その『l』のさらに上にはクラブ棟が建てられている。
 学舎は四階建てで相沢祐一の教室は2−D。美汐達の教室がある三階の一つ下、二階にあった。
「祐一さん、祐一さん、祐一さ〜ん!」
 教室に飛び込みざまに栞が一呼吸で三連呼する。その突然の騒がしい訪問者に……しかし2−Dの連中は慣れっこだった。慌てず騒がず、関わらず。相沢祐一か、その周囲の人間が対処するのに任せるのを待つのみ。
 今日の対処役は栞の実の姉、美坂香里だった。
「どうしたの?」
「あ、お姉ちゃん! 祐一さんは居ませんか?」
「……残念だけど、相沢君なら今日は休みよ」
「えぇ〜!! どうして!?」
「なんか風邪みたいね。酷くはないらしいけど、一応今日はお休みにしたらしいわ」
 名雪が言うにはね、と自分の机に突っ伏して眠っている親友に視線を向ける。
「でもまぁ、熱はあんまりないらしいから明日には治るだろうって」
「そうですかぁ……」
「で? なにかあったの?」
「あ、そうです! 実は美汐ちゃんが犯人で疑われてて、密室で不可能犯罪風味なんですけど実はトリックが有るかも知れなくて有罪確定っぽいんですけど、なんとか無罪を証明して上げたいんです!」
「……はぁ?」
「本当は祐一さんに頼みたかったんですけど居ないんなら仕方在りません。お姉ちゃんが名探偵になってこの不可思議な事件を解決に導いてください!」
 断りたかった。そんな意味不明な事件に関わりたくなかった。しかし次期生徒会長の呼び声も高い彼女にも致命的で人間味あふれる欠点があった。
 それは……極度のシスコンだと言う事だ。
「お願いです! お姉ちゃん!」
 そう言われて、香里が断れるわけがなかった。


「なるほど……そういう状況なのね」
 場面は変わって、1−Cの教室。いっこうに要領の得ない栞の説明を理解するのはあきらめ、香里は美汐や鎌田達から直接事情を聞いていた。違う学年の教室に入るというのは何となく居心地の悪いものだったが、仕方がない。
「とりあえず、なんとかできそうね」
「どういう事ですか?」
「単に天野さんが犯行不可能であった事を証明すればいいだけの事でしょ? それだけならなんとか出来るかもしれないって事よ。それじゃあ始めましょうか。まず天野さんが合い鍵を造っていた可能性だけど……天野さん、あなたは何故放課後に教室に居たの?」
「それは……」
 美汐は一瞬ためらったが、隠し立てするわけにもいかず例の手紙を香里に渡した。
「……なるほど、相沢君からの手紙ね。でも実際にはこれは鎌田さん達の罠だった?」
「そういう事になりますね」
 美汐が鎌田達に視線を向けると、彼女たちは露骨に顔を逸らした。
「これはいつあなたの手に?」
「昨日の朝です。下駄箱に入ってました」
「そう。じゃあ、これで合い鍵説は崩れたわね。天野さんが教室に閉じこめられたのはその日の朝に見つけた手紙で呼び出されたからなんだから、前もって合い鍵を造っておく余裕はないわ」
 予知能力でも無ければね。と冗談めかす香里。
「それじゃあ窓から出たんじゃあ」
「それも無理ね。確かにあの排水パイプを使えば降りることは出来るわ。天野さんくらいの子なら十分に支えられるでしょう。でも登るのは無理。三階までパイプをよじ登ってくるなんて、男子でもできないわよ」
 降りるだけならパイプにしがみついて滑り降りるだけですむのだが、登りはそうはいかない。手と足の力で自分の身体を引っ張り上げなければならないのだ。
「よって窓から出た説も却下ね」
「窓から出て、扉から入ってきたとしたらどうでしょうかぁ?」
 再び、三島沙夜香が間延びした声で問題提示した。口調は変だが、鎌田などよりよっぽど柔軟な思考を持っているようだ。
「まず窓から降りて、美咲ちゃんの絵の具入れを隠して、そして職員室から持ってきた鍵で教室に入るのぉ」
「でも、それじゃあ教室の中に鍵が残っちゃいますよ?」
「だから内から鍵を閉めた後、こうやってぇ」
 と、窓から身体を乗り出して何かを下に投げ捨てる仕草をする。
「なるほど。ここから落とせば鍵は花壇に落ちる。すると帰り際に野犬除けの柵を立てに来た用務員が発見する。当然用務員はそれを拾って、職員室へ戻す。密室完了って訳ね」
「はい」
 以前野犬に荒らされてから用務員が必ず毎日帰り際に柵を立てるという事はこの学校の生徒ならみんな知っている。美汐にも十分に可能だった。
「面白いわね。だけど却下」
「どうしてですか?」
「だって、すぐに足がつくから。今すぐ用務員に会いに行って、鍵が落ちてませんでしたか? って聞いたらそれでお終い」
 誰も反論できない。
「それじゃあ……それじゃあこんなのはどうですか!? 共犯者がいた、とか!」
「とりあえず思いつく事を全て挙げてみる、というのはなかなか賢い姿勢よ。称賛に値する。でも残念だけどそれまた却下」
「なんで―――!」
「確かに、共犯者が居れば犯行の方法は格段に広がる。共犯者がいれば、こんなもの密室でも何でもなくなるわね。窓が思いっきり開いてるんだからそこから絵の具入れを投げて、下で待機した共犯者に渡せばいいだけ。なるほど簡単だわ」
「だったらそれが正解なんじゃないですか?」
「共犯者が居るのに、なぁんで一日教室で寝泊まりしなきゃいけないのよ。さっさと教室を開けて貰って出ていけばいい。わざわざ密室の中になんていなくても、いくらでもアリバイを作ることが出来るじゃない」
 天野さんは私と一緒にいた……その一言でアリバイは成立だ。共犯を疑われる可能性があるのなら、美汐一人で帰り、彼女を知っている無関係な人と会っていればいい。どっちにしろ、わざわざ密室に残る理由は見あたらない。
「それに……これは天野さんにも酷い言い方になってしまうけど、彼女に共犯関係を結べるほど信頼できる知り合いがたくさん居ると思う? そう思わないからこそ、あなた達は彼女をイジメていたんでしょう?」
 イジメはゲームじゃない。イジメには勝ち負けがない。あるのは、一方的に虐める人間と、一方的に虐められる人間だけだ。
 もし、その勝率が100%を下回るようなら、イジメとして成立しない。だれもそんなことはしないだろう。
 だからイジメが発生するときは決まって一対多数の形になる。多数対多数では『万が一』が発生してしまうからだ。
 美汐はいつも一人だった。教室の外では祐一やその周りにいる者達と話すこともあったが、内ではいつも一人きりだった。友達も作らず、作ろうという姿勢もみせず、ただ一人で本を読んでいる。
 そんな姿が鎌田達の目に留まったのだろう。
「共犯説はまず考えられない、と理解してもらえたかしら?」
「―――はい」
「よしっ、これで天野さんが犯行不可能だった事が証明されたわね」
「でも……それじゃあ私の絵の具入れは?」
「あのね、鎌田さん。人を疑うのは悪い事じゃないわ。バカみたいに信じるだけの奴よりはよっぽどマシ。でもね人を疑うときに必要なのは自身の潔白なのよ。あなたは断言できる? 万が一にも自分が落としたんじゃないって。落としたそれを誰かが拾って、職員室……いえ、絵の具入れなんてすぐに分かるからもしかしたらクラブの部室へ持っていったかも知れない。これらの可能性を完全に否定できる?」
「………」
 否定できるはずがない。誰も可能性を否定する術は持っていない。香里は「自身の潔白」と言ったが、それを完全に断言できる人間は居ないのだ。もし居たとしたら……それは酷く悲しい人間だろう。 
「今はもう時間が無いから無理だけど、お昼休みにでも部室へでも行って見なさい。天野さんへの追求なりなんなりはその後よ」
「……はい」
 意外にも素直な返事が帰ってきて、香里は誰にも気づかれない程度にホッと息を吐いた。鎌田美咲は悲しい人間ではなかった。ただ弱くて、自分と同じくちょっとだけ不器用な普通の少女だった。
 こうして、天野美汐に無罪判決が下った――――




5/乙女の密室――開錠終了


 時間は流れ、お昼休み。美坂姉妹と、そして香里に誘われた美汐は屋上にいた。
「天気もいいですし、絶好のお弁当日和ですね〜♪」
 そう言ってどさりと3段の重箱を下ろす栞。
「今日は祐一さんが居ませんから……二人ともがんばってくださいね♪」
 香里の表情が一瞬にして凍り付く。普段犠牲者になっている祐一の苦戦する姿をなんども見ているだけに、今から自分がその強敵と立ち向かわなければならないのだと思うと、それも仕方のない事だった。
「……今日はパンを食べたい気分なので、失礼させて……」 

 がしぃっ

「駄目よ」
 慌てて撤退しようとした美汐の腕をつかむ香里。ここで逃げられたら一人当たりのノルマが増えてしまう!
「放してください。急いで行かないとクリームデニッシュが売り切れてしまいます」
「そんなハイカラ(死語だ)なのはあなたに似合わないわ!」
「失礼ですね、物腰が上品なだけです!」
「良いから一緒に犠牲になりなさい!」
「そんな酷な事はないでしょうっ!」
「えぅ〜そんな事言う人達嫌いです〜!」
 そんな大量のご飯を食べさせようとするあなたの方がよっぽど嫌いよ! とつっこみたい二人だったがさすがにそこまで下の道ではない。結局、残った分は放課後水瀬宅へ持っていって祐一に処理(たべ)させるという方向で決着をつけ、香里達は重箱をつつき始めた。
「……さてと、ホントなら食後にまったりとしてから始めようかと思ったんだけど、これじゃあ時間が無くなっちゃいそうね……」
「ふぇ? 何がですか?」
「天野さんは、だいたい分かってるんじゃない? なぜ私があなたを昼食に誘ったのか」
「ノルマを減らす為……ではないようですね」
「もちろん、それもあるわ」
 そんな事言う人〜以下略、と栞が唸ったが香里はそれを無視した。
「でも、もう一つ。それはあなたの密室を開くためよ」
 美汐の……箸が止まった。
「ど、どういう事なんですか、お姉ちゃん!? まさか、まさかまさか! 美汐ちゃんが・・・」
「そう、鎌田さんの絵の具入れを隠したのは天野さん……あなたよ!」
 美汐が……箸をおいた。そしてその鉄仮面でもつけているかのような無表情で香里を見つめる。
「私の無実は、先輩が証明してくれたじゃないですか?」
「騒ぎが大きくならないようにするための方便よ。それとも、あの場所で真実を語って欲しかったのかしら?」
 美汐は答えない。しかし、それが逆に「断じて否」という彼女の意志を表明していた。
「でも! 美汐ちゃんには犯行不可能だって……なにかトリックが在るんですか?」
「無いわ。トリックなんて何もない。そもそも、この事件はただ偶然が重なっただけの笑っちゃうくらい単純な事件なんだから」
「トリックは無いって、それじゃあ……」
「さぁ、密室を開いて上げる。教室という目に見える密室ではなく、あなたの心の密室をね!」


「この事件にトリックがないのはね、そもそも前提が大きく間違っているからなのよ。栞はこの事件は天野さんが教室に閉じこめられた仕返しで行った物……そう考えてるんじゃない?」
「違うんですか?」
「私は違うと思うわね。なぜなら、危険だから。鎌田さんの性格を考えれば自分が真っ先に疑われる事は目に見えている。なのに自分が容疑者になるような危険な事をすると思う? 天野さんはそれほど馬鹿じゃないわ」
「確かにそれはおかしいと思いました。でもそれじゃあやっぱり美汐ちゃんが犯人じゃないって事に……」
 栞の言葉を、香里は小さく笑って遮った。
「そこが間違っているのよ。あなた達が間違っている前提は三つある。一つ目はそれ。犯人なら必ず容疑者にならないように犯行を行うという先入観よ」
「むぅ……それってさっき言ったことと矛盾してません?」
「今からちゃんと説明するわよ。いい? 要するに私が言いたいのは、天野さんは教室に閉じこめられた仕返し……つまり復讐でこんな事をしたんじゃない。ずばり、本当の動機は容疑者になるためなのよ」
「どうして、私が容疑者になりたいと思う必要があるのでしょう?」
 と、これは美汐。思わず口を挟んでしまったのだ。
「簡単よ。容疑者になることで、ある計画を成功させるため。でも残念な事にある不幸な出来事があなたの計画を破壊した。さて栞、それが何か分かる?」
「え〜っと……そうですねぇ、私ですか?」
「いいえ。栞の登場は予想済みだったはずよ。なにせ天野さんと栞の教室は隣同士。朝のあの時間に騒ぎが起きれば、あなたが顔を出さない分けないわ」
「確かに」
「そして、栞ではその状況を解決できない事も予想していた」
「えぅ……すごく複雑ですけど、本当のことなので何も言えません〜」
「さて、そうなった時栞はどうするか。自分で行動したんだからわかるわよね?」
「私が行動した……って、あぁっ!!」
「そう、相沢君よ。天野さんは、栞が相沢君を呼びに行くことを予想していたのよ」
「でもでも! どうして祐一さんを?」
「相沢君の欠席という不運がなかった場合のその後の展開を考えてみなさい。疑われている知り合いの女の子を、果たしてあの人が放って置くかしら?」
「いいえ。間違いなく助けますね」
 そう答えたのは美汐だった。その声は確信に満ちていた。
「天野さんが容疑者にされていると聞いた相沢君は間違いなく彼女の無実をはらそうとする。それこそなりふり構わずにね」
「はい。祐一さんはそういう人です。でもそれがどう動機と関連して来るんですか?」
「まだ分からない? それこそが動機じゃない」
「それこそが……って、そっかっ!」
 美汐の動機。それは復讐などではない。
 それはただ……自分の好きな人に自分の事を心配して欲しいという……子供じみた、だけど何よりも真摯な欲求。
「そして復讐でないのなら、もう一つの前提が壊れる。つまり……どっちが先だったのか、という前提がね」
「あぁっ! なんだかだんだん分かってきましたよ!」
「あの場に居た全員が、天野さんを「復讐者」として見てしまった時点でこの事件は思考の密室にとらわれてしまったのよ。だから天野さんが閉じこめられたのよりも先に絵の具入れは隠されていた、なんていうすごく単純な答えにたどり着けなかった」
 そうだ。あそこが密室になったのはあくまで放課後になってからの話で、それ以前は誰にでも出入り出来るただの教室だったのだ。
 いくらでも、持ち出すチャンスはある!
「体育……そうです、体育の授業! 美汐ちゃん、休んだって言ってましたよね!?」
「なるほど。体育の授業中なら、クラスメイト達の視線は気にしなくてすむわね。授業時間中にクラブ棟まで行くのには多少教師連中に見つかる危険が生じるけど、必ずしも割に合わないリスクじゃない」
 それにもし見つかったとしても言い訳は可能だ。なにせ、クラブ棟と保健室はすぐ近く。保健室へ行くと言えばまかり通るような距離にある。
「ですが、それでは矛盾しています。相沢さんに助けて貰うために鎌田さんの絵の具入れを隠したという事なんでしょうけど……どうして私は自分が閉じこめられると分かっていたのでしょう? 私は残念ながら予知能力なんてものは持ち合わせていませんよ?」
「そうでしょうね。でも、私は一度もそんな事言ってないわよ? ここで出てくるのが三つ目の勘違い。天野さんが閉じこめられた事件と、天野さんが絵の具入れを隠した事件はまったく別物だという事よ」
「別の物?」
「そう。天野さんが絵の具入れを隠した時はまだ、相沢君に助けて貰うなんていう計画は考えてなかったのよ」
「それじゃあ美汐ちゃんの動機はいったい」
「……手紙」
 その一つの単語に、美汐は自分でも恥じるほど大きく肩が震えてしまった。
「あぁ、良かった。あなたはどうやら私の思った通りの子のようね」
「……一応、ありがとうございます、と言っておきます」
「手紙がどう関係在るんですか?」
「天野さんの性格をしっかりと理解することが出来れば、この事件はとても簡単なのよ。彼女は変な隠し立ては一つもしていない。ただ周りの人間がみんな勘違いしているだけ。そうでしょ?」
 美汐は、小さく息を吐いた。全てを読まれている。この瞬間、彼女は自分の敗北を知った。
「別にイジメなんてどうでも良かったんです。ぜんぜん気にならなかった。だから放っておいてたんです。でもあの人達は……私のタブーに触れたから」
「名前、ね?」
「はい。あの人達は相沢さんの名前を語って私を騙そうとしたんです」
「天野さんは周りの人が考えているよりも遥かに女の子らしい……そう、本当にただ物腰が上品なだけなのよ」
 だから美汐は自分の好きな人の名前を使った、自分の好きな気持ちを利用した鎌田達が許せなかった。
「そして、だからこそ自分が騙されていると半場悟っていながらも、愚直に教室で待ち続けた」
 人を疑うならば、自身の潔白を証明できなければならない。美汐は99%騙されていると確信していながらも、残りの1%のために教室で待ち続けたのだ。
「まさか閉じこめられるとは思ってませんでしたけどね、でもその後は早かったです」
「重なり合った偶然をうまく利用したわね。まったく……大した子だわ!」
 

 ――――彼女は、どんな夢を見たのだろう?
 閉じられた教室の中で。暗く、冷たい密室の中で。彼女はどんな夢を見たのだろう?
 後に待っている容疑者としての汚名や面倒事を覚悟し、その上で彼女が見た夢はどんなだったのだろう?
 それはきっと……暖かい夢だ。大好きな人と一緒にいる夢。大好きな人にかばってもらえる夢。大好きな人が自分を心配してくれる夢。
 天野美汐は、その孤独な空間の中で、それでも暖かい夢を見た――――




5/終端子――オシオキのお時間


「……で、結局どこに隠したんですか?」
 話がいったん落ち着き、食事を初めて数分。栞がそんな事を聞いてきた。
「う〜ん、これはちょっと自信がないんだけど、部室じゃないのかしら?」
「正解です。どうして分かりました?」
「天野さんが、人の物を盗って喜ぶようなタイプじゃないと思ったから。結果的に盗難という形になってしまっているけど、本当はそんな事考えてなかったんじゃない?」
 美汐が絵の具入れを選んだのは偶然だったのではないだろうか。香里はそう考えている。
 保健室へ行くと言って教室に一人残っていた美汐はオシオキのために鎌田の机をあさった。しかし、彼女は迷った。鎌田は彼女のタブーに触れてしまったが、だからといってあまり酷いことは出来ない。美汐はそういう性格ではないし、相沢祐一も報復を喜ぶ人ではない。
 その時、たまたま彼女の絵の具入れを見つけたのだ。これならば――――
「美術部の部室に放り込んで置けばいい。すぐに見つけることは出来ないだろうけど、いずれ必ず鎌田さんの手に戻ってくる」
「でも、鎌田さんは昨日も放課後に部活に行っていたんですよ? その時点で見つかっていたら……」
「栞、あなたは相変わらず思考が堅いわね。見つかっても良かったのよ。というか天野さんはその時点で見つかるようにと考えていたの」
「でも、見つかっちゃったら駄目なんじゃ?」
 栞は何も分かっていない。香里は美汐に向かって肩をすくめて見せた。
「栞さん。こんな話を聞いた事ありませんか? 「安心というのは最高のスパイスである」……人には慣れという物がありますから、常に緊張している状態ではちょっとした事では驚かなくなります。でも一度ゆっくりと安心を味あわせてしまえば、今度は逆にちょっとした事でも驚くようになってしまう。お化け屋敷やホラー映画なんかも同じ心理トリックを使っています。だから例えば……」
 唐突に、「にぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」というおよそ末代まで恥になりそうなとんでもない悲鳴が美汐の言葉を遮った。
 だが彼女はそれに興味を示すこともなく続けた。
「例えば、なくした物を見つけて安心した瞬間、その中から死後二日ほどたって徐々に腐乱し始めている鼠の死体なんかが飛び出てきたとしたら……どうなるんでしょうね?」
 あぁ、それは……トラウマになるかもね。香里は冷や汗一つ、目の前の少女の恐ろしさを痛感した。
 地上では先ほどの悲鳴を聞きつけた野次馬達が騒いでいる。「タンカ」とか「保健室」などの単語が聞こえてくるという事は失神でもしたのだろうか?
「以上……オシオキ完了です」
 そう言って、天野美汐は本日始めての笑顔を見せた――――



――閉――





 あとがき

 加筆修正って怖い……蛇足だったらどうしましょ?(汗


 というわけで後書きです。
 書くことはいっぱいあるのですが……とりあえず当SSの天野美汐について、を少し書きたいと思います。
 今回、彼女は他のSSのように「おばさんキャラ」でなく、またほのラブなどの「可愛らしい女の子キャラ」でもなく、妙な人間味と、キツさを出したキャラで書きました。
 個人的には―――「可愛らしい女の子キャラ」な美汐が一番好きです♪(ぉ
 でも、こういったクールビューティー……「冷徹の美(少)女」的なキャラも大好きです。もちろん、それだけじゃ嫌なので、自分の恋心に向かってあの手この手で突き進む乙女としての部分もしっかりと出してみましたけど。
 「グEさん」が一行感想で挙げられてましたがこのSSの大元となったのが「スパイラル〜推理の絆〜 鋼鉄番長の密室」ですからそれをもじって「鋼鉄乙女」って感じでしょうか。なんか処刑道具みたいですね(笑
(ってか、「グEさん」元ネタよく分かりましたね……それっぽい台詞を出してましたが、まさか分かるとは……)
 とりあえず、他ではなかなか見られない天野美汐の姿を見てもらえれば幸いです。


 さて、次は一行感想の「橘征五郎さん」のツッコミについてです。
 「橘征五郎さん」見ていらっしゃるでしょうか? しっかり読んで、しっかりツッコンで頂き、本当にありがとうございます。
 絵の具入れがいつ持ち出されたのか、について、書き足しておきました!
 どうしようかなぁと考えているうちに〆切が近づき、結局うやむやにして投稿してしまったのです♪(←最低
 というわけで疑問点その1はちゃんと解決させておきました。(ちなみに、どのように部室に隠したのかについてですが、コレに関してはいくらでも方法はありますし、また聞き手の栞が興味を持つような質問でも無かったので特に言及しませんでした。無理に書いても説明口調になるだけですしね)
 疑問点その2。いつの間に『死後二日ほどたって徐々に腐乱し始めている鼠の死体』なんかを調達したのか。
 これは偶然です。クラブ棟へと向かう途中でたまたま見つけただけのことです。……そういうことにしてください。
 もともとこれはラストでのオチ的なもので、事件本編とはまったく関係のない部分ですので……ここまでいちいち説明するのは無意味かと思いました。深く考えず、美汐の恐ろしさに震えてくれれば幸いです。

 また、トリックも考えていただき光栄です。
 トリックその1。複数犯。これは本文中で却下しました。……まったく想定してなかったので、すこし無理のある却下の仕方かなぁとおもったりもしますけど(汗
 トリックその2。鍵ではなく、絵の具入れをバラバラにして窓から捨てる。
 これは本文中で書いていますが、「美汐は人の物を盗んで喜ぶタイプじゃない」に反するので却下します。というかそこまでやっちゃうとドログチャの……まるで金八先生のようになってしまいます(笑
 トリックその3。朝になって佐野が鍵を開けた後に外に出て絵の具入れを隠す。
 本文中で却下しておきました。これは20k制限で削り落とした部分に補正する文章があったのですが……よく考えたら佐野のあの一言で足りたんだなぁ……と反省。


 最後に……反省点です。
 なんというか、ミステリ物だけじゃないですけど、「案外簡単な所に気づかない」事って情けないなぁ……と。
 「橘征五郎さん」さんの共犯説なんて、絶対思いついても良かった筈なのに、なぁんで気づかなかったんでしょう?
 もちろん、気づいたとしても絶対に却下していたのですが、それでも気づかなかった事自体にやっぱりセンスの限界があるのでしょうか……。
 ミステリ、好きなのになぁ……(涙

 あと「JIMMYさん」が挙げられていた「さぞかし美汐さん、お手洗いを我慢していた事でしょう。」の一言にもショックです。まったく考えてませんでした。なるほど確かに、いきなり尿意を催したらどうするんでしょうか?
 もしかして教室で……しかも掃除用のバケ(以下検閲削除)


 そのほか、ういんどさん、夏葵さん、荒野草途伸さん、あきらくんさん、ガウガウさん、Kanadeさん、はまのじさん、かずきさん、烏賊悪魔さん、十七夜さん、名無しさんだよもんさん、雪人さん、アーリマンさん、TOMさん、風見鳥さん、TAZOさん、tabibitoさん、おーふなさん、Tanzoさん、トリプルさん、Garaさん、みちやづきさん、ugenさん、ANJUさん、naokiさん、takaさん、ふぉっけさん、感想ありがとうございました!!
 お褒めの言葉がほとんどで、辛口批評に打たれ弱い作者としては一安心です♪
 (そんなこと言いながら、1点をつけた4人の方にも感想を聞きたかったですけど)
 
 この『美少女探偵美坂香里の事件簿』は続編を考えています(というか書いてます)ので、次こそはツッコミを貰わないようにがんばりたいと思います!
 でわ、次のSSで〜♪